こんにちは、BizMuの阿部です。
私は大手レコード会社と音楽プロダクションで15年間マネージャー業とレーベル業務を経験し、有名アーティストのマネジメント、デビューをさせていただきました。その中で様々なアーティストの宣伝=プロモーションを行ってきました。
今回その経験を生かし音楽業界の宣伝の仕事についてお話をさせて頂きます。
この記事は
・音楽業界に興味・関心があり働きたいと思っている方。
・アーティストと共に音楽業界で活躍したいと思っている方
・アーティスト・マネージャーを志している方
・アーティスト・マネージャーで音楽の宣伝方法を知りたいと思う方
・アーティストの方で現在音楽活動をされている方
・もっと有名になりたいと思っているアーティストの方
などに向けて、音楽業界の宣伝を理解していただき、その上で自身にあった宣伝手法を取り入れ、
そして今の時代にマッチする活用方法を見出して頂ければと思います。
「宣伝」とは、音楽業界に限った言葉ではありません。
また、その他の業種と手法も考え方もあまり違いはありません。
では、音楽業界の宣伝の「仕事」とは、具体的にどのようなものなのか?
一言でいうと「CDの発売を伝える」ということでした。
「CDが1枚でも多く売れるように事前にその存在を知ってもらう」ということです。
そのために「音楽を多くの人に伝える」という認識が宣伝という言葉で語られて来ました。
音楽業界では、「宣伝」という言葉をいくつもの手法と同意語として使ってしまうことがあります。
宣伝・プランニング・プロモーション・広告・PR・販促・などです。
しかし、これらの意味を間違えて理解してしまうと伝えたいことが
伝えられず目的が達成できなくなってしまうのです。
Contents
音楽業界の宣伝の仕事とは
宣伝とは、商品やサービスなどの性能や特徴などを、多くの人たちに説明をし、そのうえで相手に対して理解を求める活動を指します。
音楽業界に照らし合わせてみますと商品はアーティストであって、性能や特徴はサウンド・歌詞・アーティストメッセージということに置き換えることができます。
音楽業界の宣伝とは、言葉の通り商品の性能や特徴を売る。ということです。すなわち商品であるアーティストを売っていくことが音楽業界の宣伝ということになります。
音楽プロモーションとは、
<アーティストというより音楽を広げる仕事>
プロモーションとは、購買を促進することを指します。商品、サービスに対する意識や関心を高め、
通常、プロモーションの手段としては、広告、販売促進、WebサイトやEメール、店頭販売、PRなどを指します。
まさに商品を売ることが目的である音楽レーベルの担当分野になっています。
商品とは、CDというパッケージになりサービスとは、諸品の付加価値(特典)になるということになります。
そして様々な施策を取り入れいかに効果的にも目的を達成出来るかということです。
そのためには多くの方々にその存在を知ってもらわないといけないわけです。
音楽レーベルは、音楽を使って4大メディアと言われているTV・ラジオ・雑誌・新聞など
影響力のあるメディアに露出されることを目指し多くの方にその存在を伝えていくのです。
宣伝プロモーターって知っていますか?
<TV、雑誌、新聞、ラジオという4媒体が軸だった時代>
4大メディアと言われているTV局・ラジオ局・雑誌社・新聞社の専門の交渉スタッフということです。
宣伝プロモーターの必需品としては
・自分の名刺
・おすすめ商品の資料
音源=CDサンプル
商品説明資料=楽曲タイトル、歌詞、アーティスト紹介
過去の実績資料=CD売り上げ、楽曲チャート、SNS「いいね」数
・素敵な笑顔
各商品の資料を持ち歩き毎日足繁くメディアに通うことが日課になります。
この部分だけを聞くと大変そうだなとか?かなり裏方な仕事?と思ってしまいますよね。
しかし、目的は「露出」です「出演・掲載」ということが目的になります。
ここが1番難しいというか醍醐味のあることかも知れません。
ただ単に資料を持っていってもそう簡単に獲得できるものではなく
アイデアと企画力が必要になってきます。
「どうすれば出れるか?」ということを考えて行かなくてはいけません。
音楽番組のみに意識を向けていたのではいけません。音楽番組以外にもアンテナを立て、
その商品=アーティストに合ったアイデアで企画を練っていくのです。
そのためには商品の特性・特徴すなわちアーティスト自身を熟知していなければいけません。
良い例では昔「めちゃイケ」に出演したEXILEさんです。
「めちゃイケ」はバラエティー番組として認識されています。
そこに岡村さんをオカザエルとして仕立てステージに登場させ市場の興味を創出しました。
番組の認知度=視聴率もそうですが、岡村さんがメンバーをいじることで引き出される
メンバーの個性など多くの消費者に親近感など与えられたのではないでしょうか?
SNSの出現によって変わった宣伝活動
先ほど基本媒体(メディア)4媒体と話をさせていただきましたが、
今はTV、ラジオ、雑誌、新聞プラスSNSという5媒体になったのではないでしょうか?
SNSの普及によって誰でも手軽に宣伝出来る時代になってきています。
SNSをもっと広義に捉えるのであればローカルなものが全国区なる、グローバルに発信できるということです。
しかし、発信をすることが目的ではなく、アーティスト自身を知らない方に、いかに知ってもらえるか?
そして多くの方に興味を抱いていただき囲い込むために発信するのです。
SNSは、自主主導型=自主媒体になり自ら発信していかなければいけないものです。
アーティストメッセージ・思い・サウンド・歌詞などアーティスト自身を伝え他アーティストとの
差別化を図り興味を抱かせる媒体ということです。
また、ローカルから全国区になることは多くの競合の中に入っていくということです。
アウェイ(敵地=多数の競合市場)で勝負を挑んでいる如く取り組んで行かなくてはいけない媒体ですね。
Radikoという全国のFM局の番組をどこからでも聞けるアプリがあります。ローカルでONAIRされた限定的なものが全国区で聞けるようになっているのです。
SNSでよく番組の告知をしているのを見ますが、番組名=聞けない地域の告知をしているのを多く見かけます。
聞いてもらいたいのであれば聞ける情報を伝えないとダメですよね。
野外フェスになぜ?出演したがるのでしょうか?そこには多くの消費者がいます。
その方々に少しでも自身に興味を抱いてもらうためにライヴを行うのではないでしょうか?
要はファンを増やしたいということですよね。
当日のステージで初めて見ていただくより、そのイベント当日前にイベント側のSNSに何度もコメントを投稿し
自身を知ってもらうことが必要ではないでしょうか?特に地方で行われているイベントなどは効果があるのではないでしょうか?
アーティストも地域の事を調べ、そして発信をしてあげる。地域を宣伝してあげれば喜ぶ事はあっても怒りはしません。
開催までに数回投稿する事で誰かが話題にしてくれるかも知れません。その事によって覚えてくれるかも知れません。SNSとは、そのようなことが可能な媒体ということです。
最近、星野源さんがSNS上に自身の歌唱動画をアップしています。
ギター弾き語りの新曲「うちで踊ろう」を発表し、「誰か、この動画楽器の伴奏やコーラスやダンスを重ねてくれないかな?」と。これは、決して宣伝を意識したものではないですが、良い例ではないかと思います。SNSの活用方法をさらに効果的に使うことが求められてきている時代でもあると言っていいのではないでしょうか?
有料宣伝という力技と無料宣伝という発想力
有料宣伝とはいわゆる広告と呼ばれるものです。管理可能な広告媒体に予算をかけて行うものです。
私たちが日々生活している中で目に入るものほとんどが有料宣伝=広告というものになります。
街で見かけるポスター・電車、バスの中も中吊り・TVCM・大型ビジョン・壁面など全てが有料宣伝になります。
これはもう資金力の問題です。
しかし、この広告を行うにしても基本は無料広告=発想力が必要ですね。
では、無料宣伝とはなんでしょうか?新聞やテレビ番組に取り上げてもらう記事(*パブリシティー)と呼ばれるものです。
これは予算をかけて出来ることではありません。世間にこんなことがあった。という「話題」を提供するものです。偶発的な話題ではなく、無料宣伝とは、話題を仕掛けるということです。
先ほどもお話をさせていただいた「めちゃイケ」のEXILEさんの例と同じでアイデア・企画力=発想が必要になってきます。この発想力は至るところで必要になってきます。ポスター1枚作るのにもいかに気を引けるか?という発想で作ることです。SNSを活用するにも全てがここから始まります。この発想力に予算をかけ大々的な広告を行えば大きな効果が期待できますね。
アー担というアーティスト担当の存在
レーベル側からプロダクション(=アーティスト)の架け橋になる立場です。
音楽の制作進行からCDの発売についての進行管理全般を担う立場になります。
今までは音楽レーベルよりのであった考えからCDが売れない時代と言われている今、
旧態然の行動では良い結果など生まれる可能性は低いのではないでしょうか?
アー担(=アーティスト担当)はプロダクション(=アーティスト)の情報含めて一番多くの
情報を持つことが出来る立場です。音楽軸からアーティスト軸への考えを持つことが求められているのです。
宣伝計画の作成
〜宣伝計画とは、アーティストを売る計画設計である〜
音楽業界に関わると様々な宣伝(=プロモーション)が入り混じっています
・CDを売る宣伝 =音楽レーベル
・コンサートチケットを売る宣伝 =コンサートプロモーター
・アーティストを起用する宣伝 = 企業広告
・ファンを増やす宣伝 = ファンクラブ運営社
・アーティストの出演で視聴率を取る宣伝 = 各メディアなど、様々な宣伝が音楽業界には入り混ざっています。これらはアーティスト軸=アーティストから派生するものです。全てがアーティストに関わるものになります。コンサートの開催時期やチケット券売にまつわる宣伝展開やイベント出演情報。どんなイベントに出演するのか?またファンクラブの活動情報などはどのような計画しているのか?など、
アーティスト宣伝・音楽プロモーション・各種企業宣伝のそれら全てを包括した計画を作成するということです。
そして、一つのアクションが点ではなく、線に繋がるようなそして立体的な面を生むストーリーを
作ることが出来れば今まで以上の結果を残せるのではないでしょうか。
音楽活動と宣伝活動を別だと考えていませんか?
音楽活動は宣伝活動の始まり
多くの人は「音楽活動は何をしているの?」聞かれと「ライヴを行っています」「音楽配信をしています」という話になります。
「夢は何?」と聞かれると「大きな会場で歌いたい」と答えるのではないでしょうか?
そして、「フォローワーはどれくらい?」など聞き返されるのではないでしょうか?これって活動を聞かれているというより、
結果を聞かれていませんか?そして、活動に対しての結果を判断しているのです。
音楽活動はすべて目的を達成させるために多くの方に周知をさせて興味を抱いてもらうことが宣伝活動になっているということです。
その場その場の行動で満足してはいけないのです。
プロモーションに活用するには
プロモーションとは購買を促すことを目的にします。
しかし、その存在を知らなくては購買したくてもできないわけであって
そのためにはまず自身を宣伝しないといけません。
宣伝活動は、商品の性質・特徴を伝えることとお話をしてきました。
ですので、まず自分自身をしっかり知ってもらわなければいけませんよね。
何か?アクション=行動するには最初の一歩というものがあります。
その一歩とはなんでしょうか?
例えば路上ライヴを行おうとした場合その路上に向かうことが最初の一歩でしょうか?最初の一歩とは「路上で何を歌おうか?」ということを考えることです。これが最初の一歩になります。では、考えて終わりなのでしょうか?
考えたことがそのアーティストの思いということになります。
なぜ?その歌を歌うのか?という思い理由です。その思い=理由をSNSに投稿することで興味を抱いてくれる可能性があります。
また、歌唱をするときに自身を覚えてもらうという思いでポスターなど自主制作しますよね。どんなポスターを制作するのか?試行錯誤も発信することで興味を抱いてくれる可能性があります。これを宣伝というのです。音楽活動すべてが始めるときには宣伝の材料があるということです。その材料を使うことで宣伝になるのです。
例えばメジャーアーティストなど歌詞を一般から募集をするときがありました。「みんなの好きな言葉を曲にします」的なものです。
これも宣伝の一部です。公開するからこそ「宣伝」になるのです。
初心に戻るインディーズの宣伝活動
昔を思い出してください。無名の頃自分たちで出来ることは自分たちの手で行って来たのではないでしょうか?
自分たちが自ら動いてポスターの掲載のお願いやフライヤーの配布など、行って来たのではないでしょうか?
独自のやり方によって今があるのではないかと思います。
基本のベースがあり、そしてその上で大きな力を加えるとことによって効果が発揮されます。
基本のベースを怠り大きな力だけに依存するのではなくあくまでも基本をベーズに考えるということです。
例えば、宣伝用のポスターを作成してくれたとしましょう。
昔であれば自分たちで友人・知人を頼って様々な場所へお願いをしていたと思います。
しかし、レーベルなどの宣伝などは一般の方が目に入るような場所への掲載などの動きはしません。
貼られる場所があってもラジオ局・雑誌出版社などになります。一般消費者には目につかない場所です。
これでいいのでしょうか?昔から応援していただい人へも情報が行かないのです。
では、自分たちで動けばいいのでしょうか?そうかも知れません。
しかし、それを一つの企画として提案するというやり方もあります。
今までポスターの掲載を自身で行ってきた経験があればそのような発想にもあるかも知れません。
題して「ポスター掲載ローラー作戦500キャンペーン」的な企画を提案してもいいかも知れません。
500枚のポスターを貼るという企画です。この企画を面白がってくれる媒体が見つかるかも知れません。
SNSで協力してくれる方が現れるかも知れません。今まで自分たちが行って来たことをやらないのではなく、
改めて生かすといことです。
マネジメント思考が求められている。
よく360度契約という言葉で表されます。この言葉からして誤解を生むことになるのです。
360度契約とは、すべてのマネジメント・ビジネスにおいて包括的な契約を結ぶということです。
ビジネスについてとことです。コンサート・グッツ・ファンクラブの会費など含めて分配を前提ということです。
これはマネジメント思考とは言わないのです。
音楽ではなく、アーティストを宣伝する時代
音楽業界の宣伝は今後どのように扱っていけばいいのでしょうか?
それは、アーティスト活動計画に効率よく加味させるということです。
アーティスト自身の活動がさらに効率的な効果を生むように考えて行くのです。
音楽は、あくまでアーティスト軸になります。昔のようなCDが売れていた時代とは異なりCDビジネスはアーティストの
ビネネスの一部にしか過ぎないのです。昔のような音楽中心に行わせるということではなく、あくまで相乗効果を生みつつ行って行くのです。点を線に繋げ、そして立体的なアプローチが今後さらに必要になってくるのではないかと思います。
「モノ消費からコト消費と言われ、共感が時代を動かす。」物質的なモノ消費の価値が薄れ、
消費者にとって真に価値あるものとしてコト消費、つまり体験に価値を見出しています。
モノ消費とは、何らかの形ある製品・サービスの機能的価値を消費する行為です。
モノ消費の特徴として、価値が目に見えやすいという点が挙げられます。
一方のコト消費とは、体験や付属的なストーリー性などを価値とみなす考え方です。
必ずしも物質的なモノが手に入るわけではなく、提供されるサービスや時間、空間などに価値を見出します。
商品ビジネスが行き詰まってきている中で商品を売ろうとしてもダメなのです。
CDは商品「モノ」グッツも「モノ」です。「コト」とは、アーティスト自身、アーティストが提供する体験なのです。
CDビジネスが低迷しコンサートビジネスが上昇したというものこの「モノ」から「コト」へのシフトチェンジがあったからではないでしょうか?音楽業界の宣伝は「モノ」から「コト」への宣伝にシフトしていかなくてはいけないのです。
いわゆる音楽からアーティストを宣伝するということです。
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